新潟の山間に湧く 文化財の宿
新潟県三条市の山間、かつて下田村であった場所に湧く温泉です。
宿の魅力としては、温泉、建物、料理の3つがあります。
嵐渓荘は、広さ3000坪(約9900㎡)の広々とした敷地の中に建つ温泉宿です。
宿へと近づくと、まずはなんといっても建物の趣に心奪われます。
木造3階建てで望楼を備える「緑風館」は、歴史を感じさせながらも、大切に保たれてきたことを感じさせてくれる佇まいです。
周りを囲む庭園は、大きな池や四季折々の山野草などで整えられていて自然豊かな静かな環境に建っています。
建物は3つの棟から構成されていて、部屋は全部で17室。
それぞれ、
部屋からから川の流れを望める「渓流館」(1992年築)、
昭和初期に建てられた料亭を移築した「緑風館」、
山側に面した「りんどう館」と違うので、注意が必要です。
料金は、料理、部屋によって変わる
例えば、料理が「山里会席(フルコース)」ならば、
最もリーズナブルな「りんどう」で1名15000円(税別 1泊2食 2名一室利用)。
最も高い「渓流館」で22000円(税別 1泊2食 2名一室利用)となります。
オススメはやはり、風情あふれる「緑風館」。
歴史的価値があるとして、「国登録有形文化財」にもなっています。
「緑風館」の部屋は、それぞれ作りが違い、個性があります。
例えば「千草」は8畳と6畳の二間からなり、池と渓流に広く眺望をとり、飾り窓には昭和初期の建築様式が見て取れます。
他のお客さんがチェックインする前なら、他の部屋も見学させてもらえる場合もあります。
塩分の強い温泉は さまざまな湯船で楽しむ
温泉は、大浴場と無料の貸し切り風呂「山の湯」があります。
泉質はどちらも変わらないのですが、やはり「山の湯」がオススメです。
こちらは大浴場の女性用露天風呂
利用方法としては、チェックイン時に時間予約することになります。
ちなみに事前予約しなかった場合でも、夜22:00〜朝10:00までは、浴室前に鍵がさがっていればだれでも自由に貸切入浴できるので、
このタイミングで利用するのも可能です。
「山の湯」には「石湯」と「深湯」の2つがあります。
「石湯」には石で組まれた露天風呂と内湯があります。
宿の中で最も川上に位置するので開放感抜群、川の流れを眺めながらのんびり湯浴みを楽しめます。
「深湯」にも露天風呂と内湯がありますが、こちらの露天風呂はちょっと面白い湯船です。
なんと、深さが130cmもあり、立って入る温泉なんです。
ちなみに、私はこのタイプの温泉は他には岩手県の鉛温泉しか入ったこと無いので、なかなか貴重な体験であることは間違いないです。
なんだかふわふわ体が浮いているような不思議な感覚で入ることが出来る温泉なので、ぜひ試して欲しいです。
源泉は料理にも利用されている
源泉井戸は宿の敷地内にあります。
塩分が強く、ちょっと舐めると昆布茶のような味がします。
ラウンジには、この源泉で淹れたほうじ茶が銅鍋に用意されているので、ぜひ飲んでみてください。
これが塩気のあるお茶で、おいしいんです。
また朝食には、源泉と地元コシヒカリと湧き水だけで調理された温泉粥が提供されます。
出汁や調味料が加えられていないのに味わいが深くなるという、温泉の不思議さを味わえます。
こちらは朝食 一番手前が「温泉粥」
食事は、宿泊の部屋か専用個室で
食事に使っている食材は、地元の山の幸が中心です。
こちらの宿はなんと水道を使っておらず、食事に使う水は湧き水なんです。
塩分が必要なときは温泉をつかう場合もあるんだそう。
山里会席のフルコースの場合は全部で13品。
「鯉の洗い」は地元で育てられた、鯉を刺身にしたもの。
コリコリとした歯応えが特徴です。
辛子酢味噌を付けて食べると、これが本当に美味しいんです。
辛子のピリッとした味と、味噌の甘みが日本酒によくあう一品です。
(苦手な場合は海鮮の刺し身に変更可能です)
「ゼンマイの一本煮」は嵐渓荘の看板料理。
春に収穫した山菜のゼンマイを使っています。
ほんのり甘い醤油味、シャキシャキした歯応えがおいしいです。
「にいがた和牛の石焼き」は見た目にも豪快な一品です。
熱々の石の上に、自分で肉を置いて、焼いて食べます。
肉は脂身が多すぎない肉なので、しつこさがなくて噛めば旨みたっぷり。
新潟といえば、日本有数の米の産地で、日本酒もおいしいのが有名。
ぜひ日本酒と一緒に料理を楽しむのをオススメします。
宿の主人は日本酒大好きなので、好みを伝えればオススメの一本を見繕ってくれます。
そして、最後に出てくる米ももちろん美味しいです。一粒一粒がしっかりした「こしひかり」の甘みとうまみを楽しんでください。