海のない長野県茅野市の特産品が、なぜか寒天!?
茅野市は長野県の南信地方の、八ヶ岳や蓼科高原、車山といった山岳リゾート地を抱える町です。
茅野市役所の標高は、801mでなんと日本で一番標高が高い場所に位置する市役所なんだそうです。
で、そんな山岳地帯の茅野市の冬の特産品が寒天。
男性が束ねているのが、茅野特産「角寒天」
多くの外国の方には馴染みがないのかもしれないけど、寒天の原材料っていうのは「天草」という海藻なんです。
言わば、「チューリッヒの特産品がムール貝」くらいの違和感なんですよ。
例えがヘタですみませんが。
この寒天作りの風景が、日本で唯一とい得るほどの独特の風景で、見る価値のあるものなんです。
冬の間の休耕田にずらりと並んだ白い寒天が朝日を浴びる様は本当に美しいです。
日本人でも知っている人が少ないと思うので、ぜひ皆さんにこの風景を知ってもらいたいと思います。
寒天の理由は寒さ
気になる「なぜ茅野の特産品が寒天なのか?」という理由なんですが、その理由は冬の茅野の気候にあります。
冬の茅野は夜間の平均気温が−5〜−15℃。
そして、雪が少なく乾燥しているんです。
寒天作りのために必要な条件が、この夜間の寒さと雪の少なさ。
ではその2つがどうやって寒天を作り出していくのか、見ていきましょう。
自然の力を借りる 寒天の作り方
寒天は、先程も書いたように、海藻である「天草」から作られます。
大量の天草を茹でた煮汁が冷えると、ゼリー状に固まります。
これが「トコロテン」。
日本では精進料理に使われたり夏場のお菓子に使われたりします。
茅野ではこのトコロテンを4cm角の細長い棒状に切り、夕方になると田んぼの干し台にずらりと並べていきます。
すると夜間の冷え込みで、トコロテンは凍結し、朝になると溶け、トコロテンの中の水分が失われていきます。
このときに、寒天が凍るのに必要な気温は−3以下。
同時に太陽光(紫外線)によって脱色され、白くなっていきます。
これを2週間ほど繰り返すと、カラカラに乾いたトコロテンは、寒天となるのです。
ものすごく大きな釜で煮込むので、冷えて固まるのに時間がかかるため、明け方の真っ暗なうちから作業をするそうです。
田んぼ一面の寒天干しの風景
茅野市は、北は八ヶ岳、南は南アルプスといった高い山々に囲まれた場所です。
そのため、寒天干しの場所からは、遠くに雪をかぶった山々が見え、美しい風景を見ることができます。
昔ながらの山奥の素朴な営みと、美しい自然が生み出す冬にしか見られない絶景を、ぜひ見に行ってみてください。
例年12月中旬から2月中旬まで行われていますが、最も大規模に一面寒天が広がるのは1月だそうです。
お土産は寒天の里で
もし寒天をお土産に買って帰りたいのなら、松木寒天産業の建物に併設された、「寒天の里」という直売所があります。
店内では生トコロテンの無料試食もできます。
寒天は食物繊維がたっぷりで、腸内環境改善や美容にいいそうなので、女性におすすめのお土産です。
ただ、軽いけどかさばるのが玉に瑕。
量を考えないと、あっというまにカバンがいっぱいになってしまうかも…。