世界遺産「白神山地」とは?
白神山地とは、手つかずの自然が保たれている国定公園などを含む自然環境保全地域です。
青森県南西部と秋田県北西部にまたがる、広大な山岳地帯(約13万ヘクタール)で、
その中のブナの原生林(約1.7万ヘクタール)が、1993年にユネスコ世界自然遺産に登録されました。
登録に至ったブナ林の特徴は、
・原生林としては東アジア最大級の広さ
・縄文時代から現代まで生態系が保たれている
・特に森林の核心地は原生林の状態が良い
といった点で、国内外で評価が高まっています。
そんな白神山地を味わうための7つの散策コースがあるのでご紹介します。
①ブナ林散策道(所要時間:約1~2時間)
②暗門渓谷ルート(片道約1時間10分)
③ブナ遺伝資源保存林コース(所要時間:約1時間10分)
④マザーツリーコース(所要時間:約30分)
⑤白神山地眺望コース(所要時間:約3.5~4.5時間)
⑥十二湖散策コース(所要時間:約1時間30分)
⑦クロクマの滝コース(所要時間:約15分)
※写真は暗門渓谷ルート:暗門の第2の滝
この中から今回は、夏にぜひ行ってほしい
「暗門渓谷ルート」にスポットを当ててみます。
暗門渓谷ルートが夏におすすめの理由
3つの滝を目指しながら、ブナ林に囲まれた川辺を歩いていくコースになっていて、
途中滝つぼに入って涼むこともでき、リフレッシュするには最適だからです。
新緑や紅葉の時期も美しいですが、夏の力強い緑の中を納涼しながら歩くのは格別です。
行き方・アクセス
「アクアグリーンビレッジANMON」という宿泊施設から、徒歩5分でコースの入り口に到着します。
※ANMONへの行き方
車の場合
東北自動車道大鰐弘前インターから約1時間10分
公共交通機関の場合
JR弘前駅からバスで約1時間40分(乗り継ぎあり)
はじめに、コースのスタート地点で入山届に記名し、ヘルメット(100円)を借ります。
(強制ではないようですが安全のため)
入り口付近に、湧き水が飲めるスポットがあるので、立ち寄ってみてください。
散策のポイント・楽しみ方
服装は、軽装で挑んでいる人も見かけましたが、落石注意の所や、足元が滑りやすい所もあるので、
トレッキング用の服や靴、あとは汗を拭くためのスポーツタオルがあるといいでしょう。
散策コースは程よく舗装されていて、スニーカーでも歩けますし、片道2.8㎞と初心者の方でも挑戦しやすいです。
道中では、360度様々な景色を楽しむことができます。
木漏れ日の中のブナ林を進み、川辺をゆったり歩いて約45分で最初の滝である「第3の滝」が見えてきます。
滝は下流から上流へ向かって、第3、第2、第1となっています。
※写真は暗門の第3の滝
滝を下から見上げてしぶきを浴びながら、少し休憩しましょう。
ここから階段もあり、少し急な道になっていきますが、補助ロープなどもあるので無理なく進めます。
一つ目の滝から次へ向かう途中、滝を上から見下ろせるようなポイントもあり、迫力があり絶景です。
10分ほど歩くと次に「第2の滝」、さらに15分ほどで一番大きな「第1の滝」に到着します。
※写真は暗門の第1の滝
「第1の滝」は最大落差42mという見事な滝で、歩道を歩いているだけでミスト状の水しぶきがかかってきて気持ちいいです。
濡れてしまった場合のためにも、タオルは必須ですね。
白神山地のブナ林は、水源涵養機能や、地表浸食防止機能も高いことで知られています。
歴史的な水不足の時も、ブナ林の貯水力で東北地方は飢饉を免れたとも言われています。
ブナ林の貴重さを知った上で散策をすると、さらに感動が増しますね。
ちなみに、国指定鳥獣保護区にもなっていて、高緯度にも関わらず、多様な動植物が生存しています。
運が良ければ、珍しい鳥や動物に出会えるかもしれません。
より深く、楽しく学ぶ(白神山地ビジターセンター)
スタート地点のANMONから車で約25分、16㎞ほどの所に「白神山地ビジターセンター」という案内所・兼体験施設があります。
旅の初めに立ち寄って、情報収集するのもおすすめです。
大型映像モニターや、体験コーナーもあり、ブナの工芸品、森がこの地にもたらした産業や人々の暮らしとの関わりについて学ぶことができます。
※体験コーナー:無料。英語表記あり。
※大型映像:有料。英訳は事前に相談すれば可能だそうです。
日帰り温泉 暗門の湯
トレッキングを終えて、スタート地点のANMONに戻ってきたら、お土産売り場や休憩スペースで一息つくことができます。
ANMONには「暗門の湯」という日帰り温泉と、コテージなどの宿泊施設が整っており、
トレッキングの疲れを癒し、大自然のエネルギーをたっぷりチャージしてから帰ることができるでしょう。
※写真は「暗門の湯」(冬季休業)
利用時間:9:00~17:00
料金:大人 550円 小人 350円
タオル等貸し出し250円~
四季折々、どのコースも美しい
今回は特に「暗門渓谷ルート」にスポットを当てましたが、他のコースでは春~秋にかけて美しい十二湖や青池を見ることができます。
地球規模でも貴重と評価されつつある白神山地の、美しく力強い生態系の中を歩くという体験は素晴らしく、
何度でも訪れる価値があり、まさに日本の名所と言えるのではないでしょうか。