みちのく随一の桜の名所 弘前城
青森県南西部 弘前(ひろさき)市の中心部にある弘前公園。
ここで毎年開催される“弘前さくらまつり”は、100年以上前の夜桜見物から始まり、今へと引き継がれています。
現在は公園になっている弘前城の敷地には、1715年に25本の桜の苗木が植樹されました。
その後もその数は増やされ、現在では樹齢100年を越える木が300本以上、その他2,000本以上の桜の木が毎年花を咲かせています。
“弘前さくらまつり”の開催期間は、例年4月下旬~5月上旬。
つまりG.Wに他県より遅めのお花見ができるという事で、全国から200万人もの人出があります。
※画像は弘前公園内 下乗橋
桜の開花時期に合わせてまつり期間が延長されることもあり、早咲きのソメイヨシノや遅咲きの枝垂桜(シダレザクラ)など
17種類ほどの桜を楽しむことができます。
弘前城の桜の特徴
弘前さくらまつりが、吉野山(奈良県)、高遠城址公園(長野県)と並び、日本三大桜の名所として人気が高い理由として、
大きく3つの特徴があるので、まずは簡単にご紹介します!
【もこもこの桜】
白とピンクのもこもこの花を咲かせるために、桜守による剪定管理がされています。
桜守(さくらもり)とは、桜の剪定のプロの方々。青森県の特産品りんご栽培で発達した、若返り法と呼ばれる剪定技術が活かされています。
【弘前城 天守閣】
東北で唯一の現存する天守閣で、国の重要文化財にも指定されており、まつり期間中も見学できます。
天守閣の見学は無料ですが、天守閣のある本丸区域への入場が有料になっています。
有料区域:弘前城 本丸・北の郭
個人 大人320円 子供100円
団体(10名以上)大人250円 子供80円
【一度見たら忘れられない夜桜】
一般的な桜よりも枝の高さが低めに剪定されているため、下からのライトアップが幻想的に映え、
堀に映り込む姿は息をのむほどの美しさです。
では、楽しいお花見の前に少しだけ、弘前城と桜の歴史に触れておきますね。
弘前城の歴史
そもそも弘前市という城下町のもとを築き上げたのは、津軽為信公(豊臣秀吉の時代の津軽藩藩主)です。
1594年頃から城と町づくりを始め、1607年に没後、後を継いだ為信の弟、さらにその子孫に引き継がれて現在の弘前市ができた訳です。
弘前城の天守閣は最初は5層の造りで、1627年に火事により焼失しました。その後1810年に現在の3層の天守閣ができました。
※画像は石垣修復工事中の天守閣の仮位置
現在は、その天守閣を支える石垣の修復が行われていて、
天守閣が曳家(ひきや)によって、通常とは違う場所に立っているという貴重な光景を目にすることができるんです。
ちなみに曳屋とは、天守閣を解体せずにそのまま人力で移し、石垣を修復後、また元の位置に戻す作業です。
最初の移動は、2015年夏から秋にかけて行われました。
お花見の楽しみに、ぜひお城見学も加えてみてください。
※画像は石垣工事前の元の位置
49.2万㎡の広さがある弘前公園の中に、弘前城(本丸・天守閣)があり、
公園の入り口10カ所のうち、主要3か所にはそれぞれ木造の門があります。
東門:弘前文化センターから徒歩1分
亀の甲門:津軽藩ねぷた村から徒歩1分
追手門:市立観光館、弘前市役所から徒歩1分
※それぞれの門と門の距離は1㎞ほど
弘前さくらまつりの楽しみ方
それでは、実際のルートを歩いてみましょう!
撮影スポットを効率よく巡るには、東門から入るのがおすすめです。
公園内の地図は、日本語版ですがこれが一番全体像がわかりやすいです。
外堀の桜は日当たりがいいので、園内よりも早く咲きます。
散り始めてからも、花筏(はないかだ)と呼ばれる堀の水面を埋め尽くすピンクのじゅうたんとなり、とてもきれいです。
東門から5分で東内門に到着します。東内門をくぐるとすぐ“日本最古のソメイヨシノ”が出迎えてくれます。
園内の桜の木は、りんごの木の剪定技術を活かしている為に枝が低く、その美しさを手に届く位置で見て確かめることができます。
「最古のソメイヨシノ」を背中に左手に進むと、赤い橋(下乗橋)が見えてきます。
橋の向こうが弘前城天守閣の元の位置です。
現在はさらに70m離れた場所に移されています。
道なりに5分程歩くと“ハート型の桜”のポイントがあります。
この場所は剪定士の方が偶然見つけ、その後も手入れが続けられているらしく、立ち位置によって微妙にハートの形が変わってくるので、
いいポイントには人だかりができていたりします。
自分だけのハート型を探して撮影するのも楽しそうですね。
そこから、来た道を戻って10~15分ほど歩くと出店と演芸場のあるピクニック広場が見えてきます。
お花見といえば、出店での食べ歩きも楽しみの一つですよね!
200店舗もある出店は見ているだけでもわくわくしますね。
※出店 営業時間 9:00~21:00
特産品のトウモロコシ、嶽キミ(だけきみ)をスティック状に揚げたスナックや、
味噌に桜の花びらを練りこんだ桜みそおでんは食べてみる価値がありますよ!
無料の広場も十分に広く、屋根付きの有料スペースなどもありますので、ゆったりと休憩できます。
広場では津軽三味線の生ライブが行われていて、気分を盛り上げてくれます。
※お花見の持ち物:
ビニールシート(ござ)、ごみ袋(園内に何か所かゴミ捨て場があるのでまとめて捨てましょう)、ウェットティッシュなど。
注目してほしいのが、園内にごみが落ちていないことです。
清掃ボランティアの方々が清潔に保ってくれていて、とても気持ちがいいです。
もちろん、みなさんもわざわざゴミを捨てないように。
広場から中央高校口方面へ歩いて5分程の“緑の相談所”横に、
日本最大幹周(5.37m)のソメイヨシノもあり、これも見ごたえがありますのでぜひお立ち寄り下さい。
さらに、お城の西側にある西濠沿いには300mに渡って桜並木が続き「桜のトンネル」と名付けられた遊歩道もあります。
ここは目の前に広がる桜並木とそらの開放感、そして水面に反射する空の青と桜で素晴らしい景色を楽しむことが出来ます。
夜桜も見どころ満載
日中はたくさんの人出で、歩くのもやっと、という時もありますが(渋谷のスクランブル交差点のようなイメージ)
夜になると人も減り、比較的ゆったりと園内を回ることができます。
※夜桜ライトアップ:日没から22:00頃まで
夜は気温がぐっと下がるので、温かい服装でお出かけください。
ちなみに、弘前公園では、冬にも桜を楽しむことができるのをご存じですか?
桜の木の枝に雪が積もり、ピンク色のライトアップにより外堀の水面が凍っているときは、
まるで満開の桜が目の前に広がっているかのような景色になります。
※冬季ライトアップ
期間:12月1日~2月末日
時間:日没~22:00頃
本物の桜のように見える時期は、2月の氷点下で雪が積もっている時なので、ぜひあたたかくしてお出かけください。
一度訪れたら、写真には納まりきらないほどの美しい桜に圧倒されることでしょう。
桜と弘前城、そしておいしい食べ物、お土産、何よりもこの弘前さくらまつりを支えるたくさんの人の真心やあたたかさを感じていただけたら嬉しいです。