札幌市街から東に15kmの穴場スポット
札幌市中心部から東へ約15kmの場所にある「北海道 開拓の村」は、
明治時代から昭和初期にかけての北海道の建築物を、敷地内にまとめて移築・復元させた野外博物館です。
54.2ha(ヘクタール)と広大な大地には52棟の建造物が立ち並んでいます。
村内は、市街地、農村、漁村、山村の4つのエリアに分かれていて、
さまざまな建造物を通して、当時の暮らしを見学・体験できます。
漁村エリアでは、ニシン漁で栄えた日本海沿岸の建物が並んでいます。
当時の北海道では、ニシンが大量に獲れました。
ニシンは、身は身欠きニシンとして食用に、絞った油は燃料に、また絞りカスは肥料にと様々な用途に使われ、大変な利益をもたらしたそうです。
数ヶ月の漁期で、1年は優に遊んで暮らせるほどの大金を稼げて、網元は「にしん御殿」と呼ばれる豪邸に住んでいたんだとか。
村内には、ニシン漁に使われた船なども展示されて、往時の繁栄を伺い知ることができます。
農村エリアでは、駅逓所、屯田兵舎などの建物が展示されています。
当時の北海道には全国から移住者がいたので、それぞれの住宅に地方の特色が見えるのも、チェックポイントなんだとか。
山村エリアには、北海道の豊かな森林資源を利用した、造材、炭製造関連の建物が展示されています。
そして、一番大きな市街地エリアは、官庁街や住宅街、商店街など、多くの建物が立ち並んでいます。
そもそも開拓って?
北海道の開拓の歴史
北海道は、明治時代に入るまでアイヌ民族が狩猟生活を続ける大原始林が広がる土地でした。
1869年(明治2年)に、当時の蝦夷から北海道と名付けられ、最初の北海道開拓使が設置されました。
1873年(明治6年)、日本政府は北海道を開拓するための移民を募集し、開拓を開始しました。
そんな開拓の歴史を今に伝えるため1983年4月(昭和58年)に作られたのが、「開拓の村」です。
市街地エリアには25以上の建物が立ち並ぶ
どのエリアも面白いんですが、「開拓の村」には、当時の市街地にあった建造物が集まった市街地エリアがあります。
このエリアには25以上の建造物があり、村全体にある建物の約半数が立ち並んでいます。
こちらは、市街地エリアにある陶器や雑貨屋さん「渡辺商店」です。
木造の建築物ですが、当時の様子を維持するため、細かな部分までメンテナンスが行き届いています。
ここは、当時の旭川にあった「来正旅館」の内部です。
主な宿泊者客であるビジネスマンには、ビールが振る舞われました。
これは「手フート印刷機」という当時の印刷機です。
ハンコのように上から圧をかける当時の印刷方法をボランティアスタッフさんに教えてもらいながら体験できます。
建物内にいるマネキンが当時の生活を再現
4つのエリア全ての建造物には、当時の暮らしを再現したマネキンがいくつも設置されています。
特に市街地群エリアには、多数のマネキンが設置されています。
上記画像は、米穀・荒物などを取り扱い、商業の中心的な役割を担っていた「旧武岡商店」内のマネキンです。
マネキンの様子を見るだけで、日本語を読むことができない海外のお客様や子供でも、当時の生活をひと目でわかる仕組みとなっています。
マネキンによっては、急に喋り出したり動き出すなど、びっくりする仕掛けがあり子供に大人気です。
こちらは、実際にあった床屋さん「旧山本理髪店」です。当時の様子を店主とお客さんの会話付きで再現しています。
この風景、どこかで見たことある人もいるかも知れません。
「ゴールデンカムイ」第6巻 p131より(「ゴールデンカムイ」野田サトル(集英社))
そう、この理髪店は開拓時の北海道がテーマの大人気マンガ「ゴールデンカムイ」に登場しているんです。
建物の外観から内観まで、まさにそのまま!
1枚目の写真は、開拓村から提供して頂いた写真なんですが、漫画の方は少しアングルが違います。
野田先生、ちゃんと取材しているんですねえ。感動です。
(※北海道での取材は、先生のご兄弟だそうです。)
この開拓村は他にもゴールデンカムイに登場する建物があるので、聖地巡礼としても多くのファンが訪れています。
ゴールデンカムイファンなら、2020年に新しくオープンした白老のアイヌ博物館「ウポポイ」と合わせて訪れるのもいいかもしれませんよ。
日本国内唯一の馬車鉄道に乗ろう!
4月中旬〜11月末までの夏期間には、日本国内で唯一の馬車鉄道に乗車できます。
馬車鉄道に乗車すると、市街地エリアの端から端まで移動可能です。
所要時間はおよそ4分。
乗車料金は小人(3〜14歳)100円、大人250円です。
約500メートルの線路上を、乗客を含めた重さ2トン以上にもなる鉄道を引く馬を見るだけで元気をもらうことができます。
左右両サイドにある、建造物と景色を眺めながら当時の雰囲気に浸かることができます。
ちなみに、12月〜3月の積雪時と札幌雪まつり期間中は、雪の上を走る馬そりが登場!
馬車鉄道とはまた違った体験ができます。
「北海道 開拓の村」は、北海道内にある他の観光地と比べて大規模なイベントや演出はありません。
しかし、歴史的な建造物を維持するという大きな役割を担い、ボランティアスタッフを中心に親切丁寧なガイドも充実しています。
開拓の村では、移築・再現された建造物の見物や当時の服装や会話を体験、
さらに馬車鉄道での移動などの体験ができるため「学び」と「体験」を親子3世代で楽しめる施設です。
(市街地郡エリアの派出所に勤務するお巡りさんの衣装を来たボランティア)
地元の人に愛されている観光スポット「北海道 開拓の村」を、親・子・孫の3世代で楽しんでみませんか?