銅器職人の街 高岡
富山県西部にある高岡市は江戸時代から続く伝統工芸「高岡銅器」の産地です。
その高岡銅器の職人たちが今も暮らしている金屋町は、千本格子の家々が立ち並び、
まるで江戸時代にタイムスリップしたような風情を味わえます。
G7で日本を訪れた各国の環境大臣が体験した鋳物づくりをはじめ、鋳物見学、アクセサリー体験を楽しみ、
金屋町を満喫しましょう!
高岡鋳物職人の町・金屋町を散策
日本の寺院で大きな釣鐘を見たことがあると思いますが、その釣鐘のなんと95%は高岡で作られているんです。
釣鐘は、ドロドロに溶かした金属を型に流し込んで制作するのですが、その作り手を鋳物(いもの)職人と呼んでいます。
その鋳物職人が集うのが高岡の金屋町。
加賀前田藩2代目当主・前田利長が、大阪から7人の鋳物師を招いて、金屋町に住まわせたことから町が生まれました。
以来、400年以上の歴史を誇っています。
町に暮らす人は歴史を大切に守り続けており、町並みは江戸時代の趣を深く残しています。
およそ500mに渡って真っすぐ伸びる石畳の通りに千本格子の家が並び、日本情緒たっぷり。
ちなみに「高岡銅器」というのは、高岡で作られる金工品(金属を加工して作る工芸品)の総称です。
なので、銅だけでなく、アルミ合金、錫(すず)、鉄などさまざまな素材で作られています。
古き良き時代にタイムスリップ
金屋町に一歩足を踏み入れれば、そこはまさに江戸時代の町並みが広がっています。
金屋町の特徴はなんといっても千本格子のま家並み。
この千本格子は地元の言葉で「さまのこ」と呼ばれています。
通りを歩けば、町並みがなんとも上品。
懐かしいような、ほっと落ち着く感じです。
町に設置されている赤いポストも昔ながらのレトロなスタイル。
鋳物の街ならではのオブジェが並んでいるのも高岡らしいところです。
高岡銅器のオブジェ、ラジオ体操
全長500m続く街並みは国の「伝統的建造物群保存地区」に選定されており、昔ながらの景観を残すことが義務付けられています。
G7で来日した環境大臣も体験
金屋町では、職人が実際に鋳物を制作している様子も見学できます。
そんな工房の一つが、金屋町の鋳物工房「利三郎(りざぶろう)」です。
(利三郎外観)
見学は無料ですが、事前に連絡を入れてください。
ギャラリーの後ろが工房になっていて、この日は高岡銅器伝統工芸士で4代目の神初宗一郎(号・利三郎)さんが花器を制作していました。
利三郎さんのお家は、親子代々の鋳物職人で、4代目の宗一郎さんは、平成12年に伝統工芸士となり、
5代目となる祐二さんも同じく伝統工芸士。
親子2代で一緒に働いています。
工房の中には、鋳物を溶かす炉や、様々な種類の工具がずらりと並び、圧倒されます。
この工房は、2016年に日本でG7サミットが開催された時、各国の環境大臣が訪れ、鋳物体験をした場所でもあるんだそう。
(蔵の中にも工具がいっぱい)
工房見学のほかに、環境大臣たちが行った鋳物体験もできます。
砂型に好きな絵を書き込み、釘で彫った後、型に溶けた錫を流し込む工程で、風鈴やペーパーウェイト、ぐい飲みなどが作れます。
所要時間は約90分から2時間。料金は3,300円。
ぐい飲みは4,400円です。
海外からの旅行者が多数体験しているそうで、女将さんが寄せ書きのノートも見せてくれました。
工房の女将・神初良子さんは金屋町の観光ボランティアも行っています。
高岡銅器とは?
高岡銅器は、富山県高岡市で製造される鋳物の伝統工芸品です。
花器、仏具等の鋳物に彫金を施す「唐金鋳物(からかねいもの)」を作り出したことにより発達しました。
明治時代には、パリ万国博覧会などに出品し、輸出品として人気を集めました。
昭和50年(1975)には日本初の国の伝統的工芸品産地に指定。
高岡銅器が生まれてから400年以上経った今でも、日本唯一の銅鋳物の産地として、幅広い製品を生み出しています。
日本国内にある大仏や仏像、寺院の梵鐘(ぼんしょう、釣鐘)や仏像、仏具や香炉、花瓶や茶器、灯籠などはほとんどが高岡銅器で作られています。
もちろん日本三大大仏の一つである、高岡大仏も高岡銅器で作られています。
古民家カフェでアクセサリー体験も
1890年に創業した鋳物製品の製造卸のお店です。
お土産物屋とカフェを併設しています。
お店では、アクセサリー製作の体験もできます。
はさみなどを使って、簡単に曲げたり、切ることができる柔らかい金属・錫を使って、
ピアスやキーホルダー、ネックレスを作ることができるんです。
1ピース2000円から作れます。
時間も30分から1時間ぐらいとお手軽。
店内には、お土産品もたくさんそろっているのですが、自分で作った一品は格別ですよ。
ぜひお試しあれ。
(錫製の紐でブレスレット)
また、店内で面白い錫製の紐(990円)も見つけました。
あじろ編み、らせん編みなど日本伝統の編み方を再現した紐はしなやかで簡単に曲がります。
手首に巻いてブレスレットにしたり、お部屋に飾って置いたり、工夫次第でいろいろ使えそうです。
金屋町は、今もそれぞれの家に住民が暮らしています。マナーを守って観光してください。
夕暮れ時など、観光客が減ってきた時間帯のほうが地元の人達の生活の様子を覗き見られるのかもしれません。
情緒あふれる金屋町をお楽しみください。