心癒される空間「美人林」へようこそ
新潟県十日町市松之山に、
「美人林」と呼ばれる美しいブナ林があります。
3ヘクタールの敷地に、樹齢約100年ののブナの木が約3000本生い茂っています。
このブナ林は、空に向かって真っすぐに伸びる、生えそろった木々のその見事な美しさから「美人林」と呼ばれています。
あなたも、足を踏み入れた瞬間、凛としたブナのたたずまいに思わず見とれてしまうはず。
ブナ林の中の小道をゆっくりと歩けば、その季節ならではの木々の彩りや鳥のさえずりに包まれ、心から癒しを感じられる空間です。
そんな美人林は、実は偶然が生み出した絶景でもあるんです。
おもいきり深呼吸したくなる、さわやかで心癒される空間。
「美人林」を見に行きましょう。
美人林の歴史
この美人林と呼ばれる土地、もともとブナ林ではあったものの、昔から今の姿であったわけではありません。
実は大正末期、この土地のブナの木々は、当時の地主により木炭にするため一度すべて伐採されてしまったという過去があります。
その後、地主は引越し、この土地は地元の住民に託されました。
しかしその翌年、丸裸の土地から一斉にブナの新芽が出てくるという奇跡が起きたのです。
幸運なことに、伐採される前の年が数年に一度という「ブナの種の大豊作の年」であったことが、ブナ林の再生を可能にしたのだそうです。
その偶然により、ほぼ同じ樹齢で木々が成長し、木の高さや幹の太さが整った美しい立ち姿のブナ林が生まれたんです。
そして、いつしか「美人林」と呼ばれ、地元の人々に愛される場所となりました。
その後、高度経済成長期には全国的に、天然木を伐採し杉を植樹するという大きな時代の流れがありましたが、
美人林の地主たちは目先の利益ではなく「この美しいブナ林を守る」という思いを貫き、美人林は今日まで守られてきたんです。
今では年間約10万人がこの美人林を訪れ、
全国の写真家も虜にするような
美しい場所として知られるようになりました。
美人林を歩いてみましょう
美人林があるのは松之山温泉から車で約15分ほどの場所に位置する松口集落。
10軒ほど民家のある細い小道を走ると、集落の奥に美人林の入り口が現れます。
入り口の横には駐車場があります。
そして、その隣には近くの山々から採れたばかりの新鮮な山菜や地場産の野菜などを販売する無人の売店もあります。
ちなみに売店の隣にトイレも整備されており、ブナ林へも1分ほどで行けるという観光のしやすさも、親しまれている理由の一つです。
さて、駐車場のすぐ隣の小道から美人林へ向かいます。
車止めのゲートにも小さな小鳥が一緒にお迎えしてくれて、心ときめきます。
小道を数メートルほど進むと、風景は一気に美しいブナ林へ。
まるで別世界へ入り込んだような感覚になります。
太さのそろった幹が立ち並び、すっきりとして歩きやすい地面。
ため池に映り込むブナの木もたまらなくキレイです。
まさに「美人林」という名にふさわしい、美しい立ち姿にうっとり。
またこの美人林、様々な野鳥が生息する場所としても親しまれています。
歩いていると、そこかしこから可愛い鳥のさえずりが聞こえてきますよ。
美人林を散策していると、ゆったりと景色を楽しむ観光客の方々はもちろん、
本格的なカメラを構える写真家や、トレッキングシューズをはいて自然探索を楽しむ人、
望遠鏡を片手に野鳥の声に耳を傾ける方など、皆さん思い思いに美人林を満喫しています。
散策するときには、細い道や坂道、地面がぬかるんでいる場所もあるので、歩きやすい靴で行きましょう。
また、5月中旬までは残雪がある年もあります。
春から夏にかけては蚊やブヨなどもいるので、虫よけスプレーや長袖もあるといいですよ。
どの季節も美しい
また春夏秋冬、違った表情で楽しませてくれるのも美人林の魅力の一つ。
春はまだ雪が残る中、柔らかい新緑の若葉が芽吹き、雪国ならではの美しい春の訪れを感じさせてくれます。
・芽吹きの時期…例年4月中旬ごろ~
・新緑の見頃…4月下旬~5月上旬
提供:(一社)十日町市観光協会
夏は鮮やかな緑の葉をまとったブナ林の中で、キラキラと輝く木漏れ日を楽しめます。
ブナ林の中は体感温度マイナス2度だそうで、夏でもひんやりと心地よい空間。
提供:(一社)十日町市観光協会
秋には落葉したオレンジ色の葉が絨毯のように広がり、落ち葉を踏みしめる心地よい音が
ブナ林に響き渡ります。
・紅葉時期…11月中旬~11月下旬
提供:(一社)十日町市観光協会
子どもも落ち葉シャワーをエンドレスに楽しめます。
冬の美人林散策には雪の上でも歩くことのできるスノーシューを履いてどうぞ。
美人林すぐそばの森の学校キョロロでレンタルを行っています。
提供:(一社)十日町市観光協会
偶然と奇跡が重なって生まれ、
地域の方々の想いで守られてきた美人林。
美しい自然を味わいながら、
時間を忘れて癒される空間です。
ちなみにこの美人林、自然の森なので24時間観光が可能ですが、
近隣に民家もありますので、夜間や早朝の時間帯は、声や音にご注意をお願いします。
美人林を楽しんだら、入り口にある無人の販売所もいかがでしょうか。
※無人市は5月~11月ごろのみ営業
(木曜定休)
提供:(一社)十日町市観光協会
季節ごとに地物の採れたて野菜や山菜がずらり。
地元の工芸品が並ぶこともあります。
旅の思い出に、是非立ち寄ってみてくださいね。
※無人市は品物が無くなり次第終了します。
またすぐ近くには、先ほどスノーシュートレッキングで紹介した、十日町市里山科学館「森の学校」キョロロという施設もありますよ。
十日町周辺の自然や生活を知ることができ、
週末には自然体験型イベントや食事(土日祝のみ)もでき、
こちらも美人林とあわせて訪れるのにおすすめです。
ライター:Yukiko