壮麗で勇ましい「青森ねぶた祭り」の熱気を味わってみよう
毎年8月上旬、青森市内が祭りの高揚に包まれます。
「青森ねぶた祭り」は、巨大で華やかな人形灯篭を載せた山車が町を練り歩く熱気あふれるお祭り。
山車の周りを囃子方やハネトと呼ばれる踊り手が囲み、威勢の良い掛け声と音楽で祭りを熱狂的に盛り上げます。
地元の人々が年に1回のこの祭りに注ぐ情熱ははかり知れません。
東北三大祭りの一つで、毎年日本全国だけでなく海外からも200万人以上の観光客が訪れるほど人気なんです。
青森県内には他にも似ている祭りがありますが、最も規模が大きく活気があるのが「青森ねぶた祭り」。
この祭りは見て楽しめるだけでなく、観光客も躍り手のハネトになって気軽に参加できます。
東北の短い夏を熱気で彩る「青森ねぶた祭り」に参加してみましょう。
青森ねぶた祭りの由来
青森ねぶた祭りの由来は定かではありません。
中国由来の七夕祭りにおける灯篭流しや、睡魔を形代に託し、海や川に流す「眠り流し」など、いくつかの習俗が融合・変形したものだという説が有力です。
一風変わった「ねぶた」という名前は、「眠り流し」の「ねむり」が「ねぶた」になまったものと考えられています。
ちなみにねぶたとは、祭りで使われる「山車」のことを指すんだそうです。
専門の職人「ねぶた師」によって作られるねぶた
勇壮で大きなねぶたですが、素材は針金と和紙だけです。
針金で人形の骨組みを作り、その上から和紙を手作業で貼ることで生まれます。
ねぶたは毎年新しいものが作られ、その年使われたもののほとんどは祭りが終わった後に解体されています。
このねぶたをデザインし、制作の中心として活躍するのは「ねぶた師」と呼ばれる職人です。
ねぶた師は、設計図の作成、構造や色彩の決定など、ねぶたづくりのすべての工程にかかわります。
また、ねぶたは3つの種類があり、大型ねぶたと地域ねぶた、子供ねぶたがあります。
大型ねぶたはおもに企業がスポンサーとなっていて、1台制作するのに約2000万円もの費用が掛かります。
町内会でお金を出し合い制作されているのが、地域ねぶたや子供ねぶたです。
壮麗で大迫力のねぶたを鑑賞しよう
宵闇に浮かぶ華やかで勇壮なねぶた。
20数台出る大型ねぶたはモチーフがすべて異なり、それぞれに込められた願いがあります。
青森ねぶたをじっくり鑑賞しに行きましょう。
ねぶた祭りの例年のスケジュールは次のようになっています(※1)。
・8月2日~6日 :19時~21時
・8月7日:13~15時(昼間運行)
19~21時(花火大会・海上運行)
※1
新型コロナウイルス感染症対策により、2021年は日程や内容が下記のとおりに変更となります。
・8月2・3日:19~21時
・8月4~6日:18時50分~21時
・8月7日:13~15時(昼間運行)
(花火大会・ねぶた海上運行は中止)
ねぶた祭りの会場に行くと、見物客でとても混雑します。
19時から運行が始まりますが、余裕をもって30分ほどまえには運行コースの近くに行きましょう。
運行コースは車道を利用しており、青森駅から徒歩約10分の青森市中心部にあります。
コースは、青森駅を基準に考えると、青森駅から延びる新町通りが八甲通りと交差する場所が最寄りです。
距離としては、駅から東に約300m。
ここから新町通りを東に1.2km。
ぶつかった平和公園通りを南に約0.2km。
続いてぶつかった国道4号線を西に約1.3km。
青森県庁前で再び八甲通りへと右折し1周という内容です。
ねぶた祭りをゆっくり鑑賞して味わうなら、有料の観覧席を利用するのがおすすめです。
有料観覧席は、県観光物産館アスパムから伸びる八甲通りから平和公園通りまでの国道4号線沿いに設置されます。
10名以上の団体観覧席は4月中旬から受付開始、9名以下の個人観覧席は7月上旬からの販売開始です。
どちらも料金は一人3500円となります。
こちらも、受付や購入方法は下記の青森ねぶた祭オフィシャルサイトに詳細があります。
いざ祭りが始まると、20数台のねぶたが順番で運行されます。
だんだんと暗くなるにつれ、色鮮やかになり華やかさを増していくねぶたの姿。
お囃子の調子に合わせ、ねぶたは曳き手によって右へ左へ、上へ下へと激しく躍動します。
時には、曳き手が思い切り山車を一回転させることも。
ねぶたは、おもに日本や中国の神話・歴史をモチーフにしています。
その年のねぶた祭に出るすべてのねぶたは、モチーフが同じものは一つとしてありません。
そんなねぶたの山車を鑑賞する見どころは、いかに作品のモチーフを躍動的に、いきいきと表現しているかです。
戦いがテーマの場合は迫力が強調されていたり、静的なテーマの場合は繊細な色彩だったりと、テーマやねぶたごとに表現の仕方が異なります。
また、「見送り」というねぶたの裏面を見ることもおすすめです。
「見送り」は表面とは一味違う表現やモチーフを採用していることが多いので、ぜひじっくり見て違いを楽しんでください。
「ハネト」になって青森ねぶた祭りに参加しよう
青森ねぶた祭りは、観光客でも飛び入り参加で「ハネト」と呼ばれる踊り手になれます。
踊りはまったく難しくありません。
元気よく飛び跳ねること!ただそれだけです。
せっかく青森ねぶた祭りを見に来たなら、ぜひハネトになって一緒に祭りを盛り上げましょう。
ハネトの衣装は、地元のデパート等のお店で購入、またはレンタルすることで簡単に入手できます。
料金は、購入の場合7000円程度、レンタルの場合3000円程度です。
どちらも着付けサービス込みのところが多くなっています.
ハネトとして祭りに参加するとき、気を付けることはたった二つ。
ひとつは、花笠をかぶりハネトの正装で参加すること。
もうひとつは、ねぶたの運行が始まる前までに、運行コースに待機しているねぶたの団体に加わること。
事前登録や受付は必要ありません(※2)。
各ねぶたは祭り開始前、運行コース上に間隔を置いて配置されるので、新町通りや国道4号線沿いに向かいましょう(※3)。
団体ごとにねぶたの山車や曳き手、囃子方がいて、ハネトが入るスペースがひもで区切られています。
声掛けは不要で、ただそのスペースに行くだけでOKです。
運行が始まったら、祭りの熱狂と高揚感を味わいながら、山車と一緒にお囃子に合わせて元気よく跳ねましょう。
※2
新型コロナウイルス感染症対策により、2021年のハネトの参加方法はウェブサイトからの事前登録制となります。
登録申し込みは2021年7月上旬を予定しています。
詳細の決定後、青森ねぶた祭オフィシャルサイト(https://www.nebuta.jp/)にお知らせが掲載されます。
※3
2021年は、ねぶたの待機場所およびスタートする場所が例年と異なり、すべてのねぶたが柳町通り海手側に待機しスタートします。
当日参加する際は待機場所へ向かうのではなく、ハネトに登録後案内される待機場所へ集合となる予定です。
青森ねぶた祭をさらに深く楽しもう
ねぶたの楽しみ方は祭りに参加するだけではありません。
ねぶたの歴史を知ったり、過去に祭りで使われたねぶたや本番を待つねぶたを見学する楽しみもあります。
その年の祭り本番に使われる大型ねぶたが収納されている小屋が立ち並んでいます。
© 一般社団法人東北観光推進機構
祭り前に外から見学できるだけでなく、ねぶたガイドが無料で祭りについて説明してくれますよ。
※新型コロナウイルス感染症対策のため、2021年はねぶたガイドによるラッセランド案内が中止となりました。
見学は7月1日~8月6日の期間で、ねぶたガイドは10~15時まで実施しています。
※12:00~13:00は制作者の休憩のため、中に入っての見学はできません。
青森ねぶた祭をさらに知りたい方は、「ねぶたの家ワ・ラッセ」や「ねぶたラッセランド」にも足を運んでみてはいかがでしょうか。