奥能登なら他ではできない体験ができる!
石川県の最北端の地、能登半島。
能登の里山里海は世界農業遺産にも選ばれた、美しい日本の原風景が残る場所です。
この能登半島の先端に位置する奥能登に「道の駅すず塩田村」があります。
この塩田村では、日本に唯一残る「揚浜塩田」での塩づくりを見て、食べて、体験して楽しむことができるんです。
写真 奥能登塩田村
「揚浜塩田」とは、海水を砂浜に撒き、それを濾過し煮詰めて塩を取り出す、という昔ながらの塩つくりの方法。
そんな貴重な塩づくりを体験すれば、唯一無二の旅の思い出になること間違いなしです!
奥能登体験村って?
道の駅の複合施設として、製塩体験ができる資料館や塩の生産販売会社が併設されています。
写真 奥能登塩田村
もちろん道の駅なので、ドライブの途中の買い物や休憩、お土産の購入に立ち寄っても良いんですが、
ここでぜひ体験して欲しいのが「揚浜塩田での塩づくり」。
まずは、「揚浜塩田」でどうやって塩を作っているのかご紹介していきます。
①海水運び
まずは早朝5時、海から海水を運ぶことから始まります。
かえ桶と呼ばれる木桶を2つ、肩荷棒(にないぼう)と呼ばれる棒で担いで運びます。
桶に入る水は約36リットル。つまり70キロ以上の重さを手作業で運ぶことになります。
写真 奥能登塩田村
ちなみに、能登半島の辺りは海流が早いために、海水がきれいな状態に保たれ塩作りに適しているんだとか。
そして汲んだ海水を大きな桶に入れていきます。
桶に入る水の量は約800リットル。10回程度往復する計算です。
写真 奥能登塩田村
②塩撒き
続いて、桶にためた海水を塩田(砂浜)に撒いていきます。
塩田の広さは約165㎡。
リズミカルに40分ほどかけて均等に撒いていきます。
写真 奥能登塩田村
これが夏の場合は、2回同じ作業をするのだそう。
うーん、大変!
この後、撒いた海水を早く乾燥させるために、細攫え(こまざらえ)という道具で砂に筋目を入れていきます。
ここまで時計は6時。
このあと8時間太陽にあてて乾燥させます。
③かん水をとる
乾燥した砂を集めて、塩田の中央に組み立てた垂舟(たれふね)という木の箱に入れます。
写真 奥能登塩田村
この箱、底には竹の目皿(トラップ)とむしろが敷いてあります。
そのため、砂の上から海水を注ぐと、濃度の上がった塩水が出てきます。
写真 奥能登塩田村
写真 奥能登塩田村
これを桶で受けて、釜炊きという作業で結晶化させていきます。
④釜炊き
塩田から運んで来た塩水(かん水)を容量600リットルの釜で6時間、濃度が24%になるまで煮詰めていきます。
これは荒焚きと呼ばれます。
写真 奥能登塩田村
ちなみに燃料は、主に杉の間伐材を薪として使います。
これは火がやわらかいため、じっくりと焚くのに向いているからだそう。
写真 奥能登塩田村
荒焚きしたしたかん水は、1日程度冷ましてから竹炭、黒炭、砂が層になった桶で濾過します。
写真 奥能登塩田村
そしてこれを再び釜に入れ、16時間の本焚き。
塩水の濃度が上がり、結晶化してきます。
このときの火加減が、塩の風味、品質、を決めるのだそう。
写真 奥能登塩田村
⑤塩とにがりを取り出し製品に
炊きあがった塩を取り出して4日間寝かせて、塩とにがりに分けます。
写真 奥能登塩田村
にがりは塩化マグネシウムなどのミネラル分を含んだ液体。
豆乳を豆腐へとを固めるために使われたりします。
残ったものが、奥能登の天然塩。
なんと作業開始からここまで、およそ6日間。
最初から最後までもちろん手作業。
写真 奥能登塩田村
手間暇かかったお塩はうまみもすごいんです!
塩作りを体験する
道の駅での滞在やお土産の塩を買うだけでも楽しいですが、やっぱりここでしかできない貴重な塩つくり体験をするのがおすすめ!
浜士(塩づくり職人)が丁寧に教えてくれます。
塩づくり体験には2つのコースがあります。
①浜士体験コース(2時間)
<概要>
海水汲み、海水撒き、砂集め、塩焚き(マイソルトの炊き上げ)を体験
②浜士体験2日間コース(2時間を2日間)
<概要>
早朝(AM5:00)の海水撒きや、海水汲み、砂集め、カン水取り、砂撒き、砂均し等、
塩焚きなどの一連の揚げ浜塩田の本格的な作業を体験
写真 奥能登塩田村
本当は2日間コースを体験したかったのですが、時間があまりなかったのもあって2時間コースを体験しましたので、
その体験談をご紹介します。
たったの2時間、塩づくりのほんの一部を体験しただけですが、これがなかなか大変!
海水を汲み上げるところから作業は始まります。
桶で海水を汲んで、浜まで運んで播くのですが、かなり重い。
また海水の撒き方もただ撒けばいいのではなく、
砂浜に均等に撒かなければなりません。
写真 奥能登塩田村
素人がやると水の塊がバシャっと落ちる感じになってしまうのですが、浜士の方がやると海水が扇のように広がってきれいに均等に撒かれていました。
コツがあるそうで、経験を積んだ職人さんでないと綺麗にできないそうです。
海水が乾いたら、今度は砂をかき集めて垂舟まで運びます。これもまた重い。
見た目以上に体力勝負な作業です。
実際に体験してみることで、職人技を求められる塩づくりを長年続けてらっしゃる浜士の凄さがよくわかりました。
職人技を間近で見ることができて、楽しかったです。
また砂に撒いた海水から塩の結晶が抽出される様子は科学実験のようで、面白かったです。
写真 奥能登塩田村
丁寧に時間をかけてつくるからこそ、美味しいものそしてができるのだと体験してみるとしみじみ感じました。
他にはこんな楽しみも
塩田村では塩田や塩づくりに使う道具を見ることができます。
昔ながらの知恵で作られた道具の数々は見るだけでも工夫が感じられて楽しめます。
また併設されている資料館では、揚浜塩田の歴史を知ることができます。
道の駅内には、オーシャンビューのイートインコーナーが併設されており、その場で軽食をいただくことができます。
特におすすめなのは、揚浜塩田のお塩を使った塩ラムネと塩じゃがいも。
程よく塩分が効いたホックホクのじゃがいもと、ラムネのしゅわっと弾ける炭酸の組み合わせは最高です。
写真 奥能登塩田村
また、同じく道の駅内のお土産やさんでは、塩田で作られた塩や塩を使った商品が豊富に揃っています。
中でもおすすめはやっぱり塩。
手作業で丁寧に作られた希少なお塩は、素材の味を引き立たせ、絶品です!
写真 奥能登塩田村
浜士の塩は400円、3種類の味が楽しめるお塩パックは1200円で購入することができます。
1パックのお値段はそこまでしないので、ばらまき土産にもおすすめです。