日本の原風景とも呼べる美しい原風景
今回ご紹介するのは、十日町市松代エリアにある「星峠の棚田」。
山の斜面に約200枚もの大小さまざまな水田が広がり、100年以上前にタイムスリップしたかのような感覚になる…。
まさに日本の原風景を望むことができます。
提供:(一社)十日町市観光協会
この星峠の棚田。写真からもわかるように、日本の数ある棚田の中でもひときわスケールが
大きく、雄大で美しい風景を見ることができる棚田なんです。
「にほんの里100選」に選ばれ、NHK大河ドラマ「天地人」のオープニングシーンに登場したことでも有名です。
一度は訪れてみたい絶景「星峠の棚田」をご紹介します!
提供:(一社)十日町市観光協会
「棚田」とは?
棚田とは、山間部などの傾斜地に作られた階段状の水田のこと。
魚沼産コシヒカリの産地である十日町市の松代・松之山地区は棚田がとても多い地域。
美しい棚田がいたるところに点在しています。
山間部にある棚田は、昼夜の気温差が大きいため美味しいお米ができるという利点もありますが、
傾斜地にあり一枚一枚の面積が小さい田んぼに農機具を入れて作業するのはとても大変です。
そのため人力の部分が多くなり、お米を作る上では平地の田んぼより労力がかかっています。
地元農家の方々が丹精込めて作ったお米は広く流通することはありませんが、高品質なため遠方から買いにくるお客様もいるほどです。
そして棚田は、地域における役割も多く担っています。
【棚田の役割】
・保水力…
棚田はダムと同じような働きがあります。
あぜが水を貯めて大雨が降っても洪水やてっぽう水が起こらないようになっており、山の斜面には小さな「ミニダム」がたくさんあるとも言えます。
・洪水や土壌浸食の防止…
棚田があることで保水・貯水機能が保たれ、また稲作を行うことで適度にその水を抜き、新たな洪水や土壌浸食を防ぐ役割も果たしています。
・生物多様性保全機能…
棚田は林が隣接していることが多く、この田んぼと用水路、林を往復できる環境は多種多様な生き物を守り育てるのにとても適した環境となっています。
提供:(一社)十日町市観光協会
・保健文化的機能…
代々受け継がれてきた棚田の情緒溢れる景色は、都会から訪れた人々の心を癒す効果も絶大です。
このように、多くの公益機能を持つ地域の宝として、棚田の存在が今改めて見直されてもいるんです。
星峠に行ってみよう
十日町市内にはいくつもの棚田があります。
その中でも最も多くの人が訪れる人気スポットが松代地域にある「星峠の棚田」です。
◎場所
まつだい駅から車で約20分ほどの場所にあります。
星峠の棚田へは公共の路線バスが近くを通っていないため、自家用車orまつだい駅からタクシーを利用するのがおすすめです。
R253を上越方面へ進み、「池尻」交差点を斜め左に曲がりR403に入って約15分。
星峠の棚田は「峠」という集落にあり、集落への入口には看板が設置されています。
【R403から棚田への案内看板】
提供:(一社)十日町市観光協会
集落が終わったところから棚田を見ることができます。
※集落内は道幅が狭くなるため、徐行運転しましょう!
◎駐車場
星峠の棚田は道沿いに、駐車場と展望台があります。
国道403号から進むと、その展望台の駐車場が左手に現れます。
個人的にはこちらの展望台からの景色がおススメです。
提供:(一社)十日町市観光協会
駐車場を出て道を渡るとこのような展望スペースがあります。
提供:(一社)十日町市観光協会
そして展望台に立つと、いよいよ星峠の棚田と対面です。
一面に広がる棚田を大パノラマで見ることができます!
天気のいい日や晩秋・早春の水鏡のシーズンなどは全国から多くのカメラマンが集まります。
そしてそこからさらに200mほど進んだところにもう1か所、駐車場と展望台があります。
提供:(一社)十日町市観光協会
ちなみに、こちらの駐車場にはトイレがありますが、個室が男女各1個のみのため、観光シーズンは大変混雑します。
是非、まつだい駅に隣接した「道の駅まつだいふるさと会館」のトイレを利用してから棚田を訪問してください。
※冬季は積雪のため星峠の棚田の鑑賞およびトイレの使用はできません
こちらの展望台からは、手前に杉林があるため少し棚田が隠れますが、先ほどとはまた違った角度で「星峠の棚田」を見ることができます。
2か所の展望台はすぐに行き来できる距離ですので、どちらもチェックしてみてはいかがでしょうか!
四季の移り変わり
星峠の棚田は、季節によって全く違う表情を見せてくれます。
それぞれの季節の魅力をご紹介しましょう!
まずは、ワタシが個人的に一番オススメの「春」から。
◎春
柔らかな新緑が一面に広がり、生命の息吹を感じるこの季節。
雪国の長い冬を耐え、ようやく迎える春の訪れを喜ぶ大地のパワーが届くような気がします。
そして春の見どころは何といっても棚田に広がる水鏡。
田植え前の5月頃から、田んぼの雪が溶け水面に風景が映り込むようになります。
これがなんとも幻想的なんです!
水鏡の時期は、3月下旬の雪消えから田植えが始まる前の6月下旬頃。
しかし、3月下旬はまだまだ雪が残っていてアクセスが大変なので、美しい写真を撮るのにおすすめなのは4月の下旬からです。
また星峠の景色は東側に向いているので、この水鏡の時期、陽が昇る時間帯に訪れてみると美しい水鏡と朝日をダブルで堪能できます。
◎夏
夏の見どころは青々とした稲、そして山々の緑と、真っ青な空のコントラスト。
これぞ日本の夏!というようなノスタルジーあふれる風景を見ることができます。
提供:(一社)十日町市観光協会
苗がたくましく成長し、あたり一面爽やかな緑に包まれます。
夏の風になびく稲、一面に広がる山の景色は圧巻です。
◎秋
黄金色に実った稲穂が風にたなびく秋。
稲が優しく揺れる音や爽やかな秋風を堪能できます。
提供:(一社)十日町市観光協会
稲穂の実った黄金の棚田は9月中旬ごろから見ることができます。
(早いところでは9月中旬から稲刈りが始まります)
提供:(一社)十日町市観光協会
9月の中旬以降は、稲刈りやはざかけ(はぜかけとも言う)の景色を見ることもできます。
提供:(一社)十日町市観光協会
そして10月後半、稲刈り後に再び水が張られた水鏡の棚田もおすすめの人気シーズンです!
畔の草木も色が変わり、山がひっそりと冬支度をしているような空気。
秋空が映り込む水鏡も風情溢れる景色です。
11月下旬頃には水鏡の棚田に雪が降ることも。
11月頃に初雪が降ることもあり、雪道は滑りやすいためスタッドレスタイヤが必須です。
危険な場合もありますので、必ず観光案内所などで現地の状況を確認してからお出かけください。
注意してもらいたいのは、冬は初冬以降田んぼ全体に雪が降り積もってしまうので、水鏡もちろん棚田の景色自体も見られなくなるということ。
豪雪地帯でもあり12月頃になると本格的に雪が降り始めるため、「星峠の棚田」はすっぽりと雪の中に埋もれてしまいます。
春の雪解けまで鑑賞することができませんのでご注意ください。
・11月中旬~4月下旬頃まで、駐車場も入れません。
・真冬は雪が3〜4mほど積もります。
◎星空と早朝の棚田もすごい
昼間以外にオススメなのが、「星空と棚田」と「早朝の棚田」。
周りに街灯などもないため、
夜になると満点の星空が広がります。
水鏡の時期にはその無数の星たちが映り込み、本当に星が降ってきそうな感覚に。
しかし一方で周りに街灯が無いので、過去に車の転落事故が2件も起きています。
危険ですので無灯火での車の走行は絶対にやめましょう!
そして早朝の星峠もなんとも幻想的です。
雨が降った翌日など、条件がそろうと一面の雲海を見られるかも。
提供:(一社)十日町市観光協会
星峠の棚田を見る際の注意点
棚田は観光地ではなく、農業が営まれている私有地です。
棚田を訪れる方が増えるに従って、「困った」という農家さんの声が絶えません。
観光・撮影の際は下記の点に十分ご注意ください。
・棚田周辺は全て私有地です。ゴミは必ず持ち帰りましょう。
・農作業をしている方を許可なく撮影することや、田んぼや畔(あぜ)、畑への立ち入りはおやめください(もちろん田んぼに三脚を立てるのは論外です)。
・自生している山菜や道端の草花、栽培している野菜などを採取しないでください。
・騒音を出さぬようお気を付けください。
・地元の人に会ったら挨拶を心がけましょう!
今も日々農業が営まれているからこそ、棚田が守り保たれています。
地域の方への敬意をもって、マナーの順守をお願いいたします。
季節によってさまざまな表情を持つ星峠の棚田。
長い間、地域で大切に守られてきた田んぼと自然が織りなす、美しい日本の原風景が待っています。
新潟を訪れた際には是非、足を運んでみてください!